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川の水が溢れる

雨雲当番ポタン

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エピソード8: わたしたちにできること
(1)災害(さいがい)にそなえる

ここからは、水のためにみんなにできることを考えてみましょう。
まずは災害にそなえることね。

「ハザードマップ」を見ると、川があふれたときに水につかるきけんのある場所がわかるから、
家の近くの安全な場所を知っておけば、ひなんのときに役立つわ。
かっ水やじしんなどで水道の水が出なくなってもこまらないように、水を貯めておくことも重要ね。

災害対策

大規模災害等の発生によって、施設の損壊やエネルギー供給の停止に伴う水供給施設の機能停止により、広域かつ長期の断水が発生するなど、水インフラの脆弱性のリスクが顕在化している。

近年発生した東日本大震災、平成23 年新潟・福島豪雨や台風第12 号といった災害時には、水インフラ施設も甚大な被害を受け、断水日数が長期に及んだ。特に、東日本大震災においては、上水道は施設被害が19 都道県264 水道に及び、断水戸数は約257 万戸、断水日数が最大約7ヶ月という甚大な被害が発生した。下水道は13 都県の下水処理場120 箇所(福島県内の避難指示区域内に位置する9箇所除く)が被災した。その後、段階的応急復旧を進めるなどして、津波による被害が甚大であった1箇所を除き、平成25 年3月末(被災から2年後)までに通常レベルの処理へ移行した。

また、地震による施設そのものの被災のみならず、停電の影響によっても取排水施設、浄水施設等の運転が停止し、約24万戸に及ぶ甚大な断水が発生するなど国民生活及び経済活動に重大な影響を与えた。

今後、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大規模な地震の発生が懸念されている。そのうち、南海トラフ巨大地震が発生した場合、被災直後に上水道では最大約3,440 万人が断水、下水道では最大約3,210 万人が利用困難となると想定され、断水の影響により1週間後に最大で約950 万人の避難者が発生すると想定されている。

また、首都直下地震では、都区部で約5割が断水する被害が想定されている。今後想定されている大規模な地震の発生により、上流域の水供給施設、汚水処理施設が被災した際には、復旧に要する時間が長期化した場合、水供給や水環境への甚大な被害が発生することが懸念される。

これに対し、水供給システムを構成する水インフラの耐震化率は、水道施設の基幹水路が33%(平成23 年時点)、工業用水の管路が28%(平成22 年時点)、農業水利施設においても用排水機場が約3割程度(平成19 年時点)と耐震化が十分といえない状況である。また、水供給・排水システムは、複数の施設管理者や利水者が関係しているため、複数の水インフラから複雑なネットワークが構成されている。一部の施設が被災した際、ネットワークにより供給が確保される場合もあるが、一方で、水供給システム全体に被害が波及し、広域的、長期的に影響を及ぼす場合がある。広域的な災害の場合は、被災を受けていない他地域からの支援が必要不可欠である。

水道事業体では、業務の効率化の中で職員数の合理化が進められた上に、合併等による事業区域の広域化も加わって、対応できる人員数が絶対的に少ない状態にあるため、今回の東日本大震災のような広域災害時においては、他の事業体との連携による対応が不可欠である。

出典:『平成26年度 日本の水資源 概要版』国土交通省水管理・国土保全局水資源部